背景
ブランド統合プロジェクトがひと段落したのちに、楽天グローバルフォントというタイポフェイスの拡張を進めることになりました。
古くからタイポフェイスは国や企業のアイデンティティを体現する重要なツールの一つでした。
企業の取り組みをみてみると、メルセデスが独自の書体を開発してロゴ、広告、パンフレットなど全ての媒体において使用を徹底させているほか、Googleがウェブ用フォントのNotosansをAdobeと共同開発し、オープンソースとして誰でも使えるようにしているように公開している例があります。
GoogleのNotosanの開発意図は、アイデンティティを示すという意図とは別のところにあるものの、彼らのロゴ制作ストーリーの中では、現在のシンプルなGoogleのタイプロゴに、どれだけ心血を注いだかがよくわかります。
グローバルブランドとしてオリジナルタイプフェイスの開発が喫緊の課題だと考えたデザインラボは、佐藤可士和氏とイギリスのDalton Maagのタイプフェイスメーカーの協力のもと、オリジナルタイプフェイスの開発に乗り出しました。
私自身はプロジェクトの途中で退職となったものの、新タイプフェイスのプロトタイプとなるRakuten Global Roundedの独自開発を始め、ベンダーの選定や開発するタイポフェイスの種類、タイプフェイスを使う社内ステークホルダーへのヒアリングなどを行い、後続にバトンを渡しました。


このタイプグラフィ拡張プロジェクトを始める前の2017年には、楽天ブランドの統合プロジェクトが走っていました。
初期セットのRakuten Globalフォントでは足りなかったので、私がロゴ開発用にRoundedを追加しました。


アプローチ
ただ本格的にタイプフェイスを拡張するためには、専門家の力が必要だと考えました。世界のタイプフェイスベンダーを調査し、イギリスのDalton Maagに依頼することにしました。
SANS、ROUNDED、SERIF、CONDENSED、ITALIC、SLABなど、幅広い選択肢の中から、社内デザイナー陣へのヒアリングなどを元に、SANS、ROUNDED、SERIF、CONDENSEDの4書体、各5ウェイトの開発を依頼することになりました。

プロジェクトはDalton Maagからのヒアリングに応える形で、ときにワークショップを通じてデザイナー陣が自身の考える楽天フォントのディテールなどをデザインしながら進んで行きました。



まとめ
プロジェクトの途中で楽天を退職することになりましたが、その1年後に無事に新しいタイプフェイスがローンチされました。タイプフェイスの奥深さとブランディングにおける重要性を再認識できたプロジェクトでした。