Shin Sodeyama - Portfolio

Rakuten Brand Unification

200を超える楽天ブランドの統合

2017

楽天史上初となる国内外200を超えるブランド整理・統合プロジェクトをリードしました。
単純なB.I.変更に見えるかもしれませんが、ブランドストラクチャ、エンドースメント戦略、サービス分類、メッセージング、社内法規、アセット開発、全事業部横断のプロジェクトマネジメントなど全社を巻き込むプロジェクトをスタートさせ、完遂しました。
2017年の楽天プロジェクトアワードを受賞し、全社員の前で私が代表として表彰されました。

プロダクトーナー
楽天
担当
システムデザインブランドデザイン

背景

私が楽天に入社した頃は、サービス間のブランドアイデンティティが大きく異なっていました。これは、楽天ブランドがエコシステムブランドとして成長していく上で、大きな問題になると強く思いました。そこで、ブランドのコンセプトや方向性を明確にするために、ブランド統一プロジェクトを開始しました。

左:入社当時のBIの状況 右:2017年のリニューアル

ガイドラインが不在で、それまでのブランド担当者が場当たり的にロゴを作っていたためこのような状況になったと考えられます。また三木谷社長も思いつきでアイデアを出してくることが多く、それに対して個別対応してきた結果とも考えれます。

この問題を再び起こらないようにするためにも、楽天の新しいB.I.を規定するとともに、プロセスや決裁権といったシステムのデザインまでを行うことになりました。

アプローチ

誰もやったことがないような壮大なプロジェクトだったので、最初から完璧なタスク設計は不可能でした。手を動かしながら必要な作業や論点を切り出しながら、ステークホルダーを巻き込みながら進めていきました。

期初の問いの設定

楽天グループにとって最適なブランド戦略は何か?

プロジェクト期初の問いはこれでした。
やや上位レイヤーの曖昧な問いとも思えますが、プロジェクトの規模を考えれば取り組む価値はありました。

オーディット

まず現状把握から始めました。当時、誰も国内外のブランドを網羅していなかったので、オーディットから始めました。おかしな話ですが、Google 検索で「え、こんなブランドあったの?」ということもありました。

広報部の公式発表では楽天のブランドの数は80とされていましたが、計算してみると200以上のブランドが存在してることがわかりました。

House of Brands vs Branded house

ブランドの大きな方向性を決める上でまず重要なのが、House of Brands 戦略かBranded House 戦略化を決めることです。

楽天のそれまでの状態は、ブランドがそれぞれの独自のロゴを採用していたという点では、House of brandsと言えます。

しかしP&Gのように、ここのブランドに対して潤沢なマーケティング予算が用意されており、意図してHouse of Brands構造になっていたのであればいいのですが、楽天の場合は誰も管理していないが故の結果でした。

楽天ブランドの予算状況はP&Gとは違います。個別のブランドに対してはほとんど予算を割かれることはなく、どのブランドもコーポレートブランドのエンドースメント効果に頼っている状態でした。

このマーケティング予算上の状況から、楽天が取るべきブランド戦略は、Branded house戦略であることは明白でした。

Branded house戦略を進む上でのPros/Consや、シナリオを注意深く検証していきました。

Fedexのベンチマーク

求心力 vs 遠心力

次に必要となった論点は、求心力 vs 遠心力です。

求心力とは、サブブランドをコーポレートブランドに近しい状態にすると言うベクトルです。
遠心力とは逆に、サブブランドに独自性を許容するとベクトルことです。

求心力を強くしようとすると極論、全てのブランドが楽天クリムゾンレッド一色になります。一方で遠心力を許容するが意味するものは、サブブランドそれぞれに独自カラーを許容すると言うことを意味します。

左:個性を許容する(遠心力)|右:統一する(求心力)

求心力ベクトルを最大化しているVirginグループのようなブランド体系を採用することもできました。しかしブランド調査によると楽天のコアバリューは「楽しい」「賑やか」であることが明確に出ていたため、カラフルを許容する方向に舵を取ることになりました。

テゴリごとに色を指定するか?

カラフルにする方向は決まった。では次は、カラーの適用をどうするか?が論点になりました。

楽天のブランド戦略の方向性

端的に言うと、サブブランドごとに完全にお任せなカラーチョイスにするのか、カテゴリごとに色を指定するのか?という論点です。

例えば、金融ブランド。当時、楽天証券は青、楽天銀行は黄、楽天カードは赤という、サブブランドごとに色を設定するというやりかたでした。

これを金融ブランドは全部赤!にするか否かと言う検討です。

机上では検討は無理なので、100ブランドのヒューリスティック分類を行いました。
しかしカテゴリのパターンはいくつもの可能性が考えられ、カテゴライズは難しいことが判明しました。

さらに、カテゴリごとに色を統一する際のPros/Cons、シナリオを検討しました。

議論になったのは、色統合した際のマーケットにおける識別性低下というConsです。

例えば、金融ブランドを全て赤に統一するとして、銀行業界には三菱UFJ銀行がすでに赤というブランドカラーを採用しています。メジャープレーヤーと同じ色を強制することは、ブランドの識別性低下を押し付けることになります。

こうした議論から、カテゴリごとのカラー設定はConsの方が多いとの判断になり、ブランドにカラーを選ばせるという方向になりました。

何色にするか?

アーカーのブランド因子理論とカラーには密接な関係がありました。それを解き明かし、楽天の多種多様なサブブランドがそれぞれのマーケットにおける差別化ができるようにカラースキームを検討しました。

楽天のサブブランドがこれまで利用していたカラーに、新しいカラーを加えた10〜12色が当初の既定路線でした。

それまでの楽天ブランドの色選択はデジタル系企業であるにもかかわらず、CMYKを意識したカラーランナップでした。デジタル系ブランドはスクリーンでの色再現ができればOKという近年の考え方にもとづき、RGBでしか表現できないけど新しさを感じるカラーを三木谷社長に提案していたのでした。

10色で決まりかけた最終決済の社長MTGにて「おれは7が好きだから7色にしよう」という鶴の一声で現状の7色に決まりました。今となってはいいネタです。

最終決定された7色のサブブランドカラー

UI/UXチームとの連携

UI/UXチームと連携しながら、エグゼキューション先の媒体オーディットや方針について詳細プランを詰めていきました。

方向性決定

これらの論点整理と議論を重ねながら、ブランド戦略の方向性を具体化していきました。

ここで紹介する以外にも、ネーミング規則やブランド構造の整理、事業部との交渉などさまざまな必要業務を流動的に行いながら、方向性を決定していきました。

さらにグローバルブランドのリニューアルステップなど、各論についても検討していきました。

グローバルブランドリニューアルステップ議論

必要に応じて事業部のキーマンに同席してもらい、三木谷社長と佐藤可士和氏と議論を重ねながらステップバイステップで結論を出していき、最終承認を得ることができました。

3ヶ月での実装

同じ頃、FCバルセロナのスポンサーシップが決まり、スポンサーシップのお披露目と合わせて全世界のロゴを一斉に変えることになり、200のブランドロゴをわずか3ヶ月で変更することになりました。(ハード過ぎたので2度とやりたくないです、、、)

2017年の7月1日の0時に、ロゴが次々と変わっていったシーンは圧巻でした。

最終方向性

1年後、再びのリニューアル

今となってはいいネタですが、2017年に完遂したブランド変更を、2018年にも再びリニューアルすることになりました。

◯Rを廃止して、スラッシュ「-」に統一するという話です。
ある意味、三木谷社長のゴリ押しとも言える方針決定でしたが、再びさまざまな議論を重ねながら2年連続でB.I.リニューアルを成し遂げました。

金融系ブランドの議論

◯Rを廃止した際の、グループブランド全容を検討していきました。

ロジック検討

シンボルをRスラッシュに変えた際のアプリアイコンへの影響検討も行いました。

2018年の最終ブランド体系が完成し、2018年7月に再度全世界一斉に変更を行いました。

Brand Unification of over 200 brands

このブランドユニフィケーションは、2018年の楽天プロジェクト賞を受賞しました。私はプロジェクトの代表として、全社員の前で社長から表彰を受けました。

2年半にも及ぶこのブランドユニフィケーションではとてもいい経験をさせていただきました。実際はここで紹介している資料の100倍くらいの資料が存在しており、ステークホルダーも300人を超え、非常に大変なプロジェクトでしたが、たくさんの学びと成果がありました。

B.I.設計だけでなく、プロセスやガバナンスといったシステムのデザインも行い、現在も楽天で利用されていることは、私が楽天に遺すことができた大きな成果のひとつです。

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